ここでいうアセスメントは、プロセスアセスメントです。プロセスアセスメントは、一般的にCMMIやAutomotive SPICEなどのベストプラクティスモデルを用いて行います。プロセスアセスメントは、組織のプロセス上の強み、弱み、リスク、改善の機会を明らかにすることを目的としていますが、いつの頃からか、何故か組織の成熟度やプロセス能力レベルを評価する(あるいは判定する)のがアセスメントという捉え方が定着してしまっているように思います。CMMIやAutomotive SPICEが、成熟度や能力レベルを定義しているので、ある意味うなづける部分もあるのですが、内容が伴わずレベルという言葉が独り歩きしてしまっているようです。
そして、「どうすればレベルを取得できるのか」、とか、「モデルに従って忠実に実施すればよい」といった考え方になり、挙句に、労多くして益少なしといった結果に終わってしまうということが多いのではないでしょうか。発注で求められるから仕方なく取り組むといった場合、いやでもこれを維持するとすれば、供給者サイドはもとより、発注者も浮かばれません。
SECの議論で、「問題(課題)ベースの改善」と「モデルベースの改善」を対比した議論がありましたが、このような対比をしなければならないくらい、現状の取り組みが歪んでいることを窺わせます。 問題や課題への対策を抜きにした改善など有り得ないと思いませんか? 問題や課題を浮き彫りにし、それを解決するための糸口を見つけたり、対策を優先順位付けする手段として、モデルやアセスメントはあるはずです。レベルに拘泥するあまり、本来の目的を見失ってはいないでしょうか。